賃貸住宅の契約。~退去と解約編~
こんにちは、りんごです。
第一回(賃貸住宅の契約。~いよいよ契約編~ - 兼業主婦のリアルな日常。)、
第二回(賃貸住宅の契約。~部屋を探す編~ - 兼業主婦のリアルな日常。)
と、勝手にシリーズ化してきた賃貸契約のお話ですが。
お待たせしました、いよいよ最終回です(待ってない)
今回は、一番トラブルになるであろう「退去と解約編」についてです。
部屋を引っ越すことになったら、一番にするのが「解約通知」です。
これは借主(あなた)が貸主(大家さん、もしくは管理会社)に対してするもので、
簡単に言えば「解約しますよ」という意思表示です。
通知の時期は、一般住居使用の場合は引越しの1ヶ月前が一般的かと思いますが、
契約書に「○ヶ月前予告」などと記載がしてあるはずなので、確認してください。
ここで出てくるのが、「引越し日」と「解約日」です。
「引越し日」というのは字のごとく、「引越しをする日」です。
通常、引越し後(荷物がない状態)に借主と貸主で室内チェック(退去立会い)をすることが一般的で、
この時に自然損耗、過失箇所についての確認をされます。
それにより退去後の工事内容と金額が決まり、解約清算によりその金額が差し引かれて、
保証金(敷金)の返金なり請求なりがされます。
「解約日」というのは、「契約を解除する日」、
つまり、この日まで家賃が発生します。
例えば、解約の通知を3/5にしたとします。
この契約は1カ月前予告(設定)なので、通知した日から1ヵ月後の4/5が解約日になります。
その場合、3/31に引越しを終えて部屋の明け渡しをしても、4/5までは家賃の支払いをしなければいけません。
これが「解約日」です。
では、同様の契約で、3/5に解約通知をして、引越しが4/15の場合はどうなるでしょうか。
この場合は、4/15が解約日となり、この日まで家賃が発生します。
「1ヶ月前予告」というのは「最短で」なので、最短の解約日以降に引越し日が決まっている場合は、
引越し後、退去立会いをし、鍵を返却して解約となります。
それでは、一番揉めるであろう、工事代の負担についてですが、
「退去時に原状回復をする」というのを耳にすると思います。
この「原状回復」という認識の違いで結構トラブルの原因になりやすいのですが、
「原状回復」というのは「入居時の状態に戻す」ということです。
入居時はどの部屋も営繕工事やクリーニングが入り、大体きれいな状態だったと思います。
だとしたら、
「え、入居の時みたいにきれいにして返さなきゃいけないの?!」ってなりますよね。
そうではありません。
ここで指す「入居時」という意味に「自然損磨耗」は入りません。
「自然損磨耗」というのは「経年劣化」ともいわれますが、
「誰が住んでも同様に経年で劣化していくであろうもの」を指します。
例えば、壁紙の日焼け、畳の傷み、水周りや居室の汚れ など。
これらは、誰が住んでも、もっと言えば住まなくても、日にちと共に劣化していきます。
これは「原状回復」の範囲には入りません。
では、「原状回復」とは何か。
原状回復のガイドラインという一般基準はあるものの、明確な線引きは難しいので会社によっても色々あるというのが正直なところですが、
わかりやすく言えば「劣化を除く入居時の状態」でしょうか。
例えば、残置物(ごみや家具等)は入居時にはなかったはずです。
自分で後付したアンテナや機器類、エアコンなどの工事で付けたホースの穴なども、入居時にはなかったでしょう。
そして、地味にトラブルになりやすいのが電球です。
電球は消耗品なので、使えば切れますし、劣化もします。
大家さん(管理会社)によっては、立会い時に切れていても「自然損磨耗」として扱ってくれる場合もあるかもしれません。
が、
うちの会社は請求します。
理由は「設備」という扱いだからです。
前回も書きましたが、「設備」は家主の所有です。
入居中に故障したら、家主の費用負担で交換をします。(過失は除く)
キッチンの水道を外して持っていったら請求されるのと同じで、
電球も設備照明の一部なので、「原状回復」の範囲内という扱いです。
なので、私は立会い時に切れていたら「とにかく立会いの時に点いていれば良いので買ってくるか、もしくは割高になりますが清算時に請求させていただきます」と伝えます。
正直、もう引越しが決まっていて、あと残り何日で電球が切れたら「ま、いっか」と暗いまま立会いを迎える方、結構います。
今はコンビニでも100均でも買えるので、交換をしておくと無駄なトラブルを防げるかもしれません。
あとは、壁紙の汚れも一般的なラインを超えると「汚損」となり過失扱いになります。
よく聞くのがタバコによるヤニ汚れです。
水周りの油汚れやカビなども、あまり酷いと汚損になる可能性があります。
話が前後しますが、
借主である入居者には「善管注意義務」というものが発生します。
これは「この部屋は大家さんのものを借りているので、あなたは善良な管理をする義務がありますよ」というものです。
過失は、これを怠ったがゆえに発生したいうことになり、
通常使用を超えると判断された部分に関しては「過失」となり、請求されるわけです。
とはいえ、大家さんや管理会社に中には、やはり自分の懐からの持ち出しは極力減らしたいので、あの手この手で借主から貰おうと考える人も中にはいます。
なので、契約書の条文や特約に「等」が入っていたら、具体的には何を指すのかきちんと明確にしておくことがいいと思います。
それと、工事の負担割合は、契約内容によって結構変わります。
自然損耗は原則、家主の負担ではありますが、礼金や償却(前回説明済み)を貰っている契約と、実費償却(前回説明済み)の契約では、やはり負担割合も変わってくると思います。
あと、余談ですが、
網入りガラスを使っている物件ってありますよね。
中に金属が格子状に入ったアレです。
あのガラス、何かぶつけた訳じゃなくても割れたりヒビが入ってくることがあります。
心配しないでください。
それは「自然損耗」なので、大家さんの負担で交換できます。
金属は気温の変化で膨張や収縮をするので、その影響で破損することが結構あります。
気付いたら割れててお金請求されるかも・・・って心配していたら、心配ご無用。
管理会社(大家さん)に連絡して交換してもらいましょう。
危ないですからね。
さて、3回に分けてザザッとお送りしてきました。
あまり専門用語は使わないように、出来るだけわかりやすく書いてきたつもりですが、
理解できない部分があったら、ごめんなさい。
この業界に従事している者として感じることは、
ほんっとにいろんな人がいます。
それは、借りる側も貸す側も管理する側も。
同業でも、私のように管理する立場と仲介する立場。
あちらも思ってるかもしれませんが、本当にいろんな人がいるんですよ(笑)
あれ?こないだミ○ミ○に居たのに、今度はア○マン?
みたいな事もわりとあります。
なんにせよ、
みんなが気持ちよく契約して、暮らせて、退去してくれる。
これが一番です。
3月4月は新しいスタートを切る方も多いので、
新生活の皆さんに幸あれ♪
ありがとうございました。
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